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ジャルジャル「芯からおもんない奴」— 退屈を演じる退屈さの二段構え

ジャルジャルタワー公式チャンネルの一本ネタ「芯からおもんない奴」を今夜は分析します。大学のベンチで繰り広げられる会話劇が、途中から突如として不条理な人格分離コントへと化ける——その転換の鋭さが見どころです。タイトルがそのまま題材でありながら、本人たちがその「退屈な話」を全力で演じるというメタな構造にも注目です。

文字起こし(全文)

198行 / 2,414字—
出演: A=白いTシャツの男性 / B=水色のシャツの男性
  1. Bあれ?何してんの?
  2. Aお、え?いや別に。
  3. Bんー。あ、隣いい?
  4. Aうん。
  5. Bうん。
  6. B休み時間暇だよね。
  7. Aやなあ。
  8. B次の授業なに?
  9. A次、空き。
  10. Bそっか。
  11. B僕も。
  12. B大学って暇だよね。
  13. Aうん。
  14. Bあ、そうだ。僕最近思うんだけどさ、
  15. Aうん。
  16. Bあの、こたつってあるじゃん。
  17. [笑い]
  18. Aこたつ、おん。
  19. Aああ、実家では使ってたけど。
  20. Bあれさ、思うんだけどさ、こたつのさ、真ん中にヒーターあるじゃん。あれ、とってもあったかいんだけどさ、あの、こたつってさ、ほら足が4本あるじゃん。
  21. Aうん。
  22. Aうん。
  23. Aん?
  24. B真逆じゃん。ほら、こっちはあったかいのに、こっちは冷たい。つまりそれはこっちがお昼で、こっちは真夜中なの。分かる?ほら、こたつが4本あって、真ん中にヒーターがあって、これがずっとヒーターが照ってるから、この足の内側だけがとっても熱いの。でも、外側は冷たいの。分かる?
  25. Aうん。
  26. Aんー、そう。
  27. Bうん。え、ちなみにさ、一番好きなスポーツ何?ズバッと言ってよ、ズバッと。
  28. Aんー、野球とか?
  29. Bあ、ひとつ言っていい?もう、ズバッと言ってないよ、それ。だって、んーって1回ためたじゃん。それじゃもう、ほら、ズバッと言えてない。うん。
  30. [笑い]
  31. Aそんなん、いきなり言われたらそんなズバッて、色々あ
  32. B僕、僕バスケットボール。
  33. Aへえ。
  34. Bそう。で、一番好きな果物は?これはズバッと言わなくていい。だからじっくり考えていいよ。
  35. Aいや、んー、も、桃?
  36. Bじっくり考えてないよ、それ。
  37. [笑い]
  38. Aあのさ、
  39. Aごめんごめんごめんごめん、いやごめん。いや俺、前からずっと思ってんねんけどさ、
  40. Bうんうんうん。
  41. Aいや自分てさ、芯からおもんないよな。
  42. [笑い]
  43. Aなんか、ちょっとおもんないなとか、ちょっと合えへんなあじゃなくて、芯からおもんないよな。芯がおもんないねん。
  44. B芯がおもんない?
  45. Aおん。芯がおもんないから、もうどんだけ喋っても無理やねん。芯やから。
  46. Bでもさ、芯で思い出したけどさ、
  47. Aおん。
  48. Aおん。
  49. Bあれって、すごいなんていう、
  50. Aシャー芯?
  51. Bそう。あれって面白いのが、シャーペンの芯でシャー芯ってみんな言ってるじゃん。で、略してるように思えるじゃん。でもあれって、シャーペンのことはシャーって言ってんだけど、芯のことは芯のままなんだよね。で、こっちは略しているのにも、こっちは略していない。これってほら、真逆じゃん。で、これって何かに似てるなと考えたら、これってこたつの足現象と一緒で、
  52. Aいや芯からおもんないねん。もう芯からおもんないねん。もう、もうどっかを改善したらええとかやないねん。もう芯がもうあかんようになってんねん。
  53. Bで、僕が一番
  54. A芯をなんとかせなあかんねん、ほんまに。
  55. B好きな、スポーツはバスケットボールなの。で、バスケットボールってドリブルする時突くじゃん。で、この時って、重力に従ってるの。でも返ってくる時はほら、逆らってんの。これって真逆じゃん。で、何かに似てるなーって考えたら、これってやっぱりこたつの足現象
  56. Aもうええ加減にせえや!
  57. [笑い]
  58. Bいや一番好きな
  59. Bねえ、僕が
  60. Bなに?
  61. Aこれ芯に言うてんねん。ええ加減にしてくれや言うて。
  62. Bえ?
  63. Bいや、お前じゃないって
  64. Aお前黙っとけ。俺、芯に言うてるから。お前がおもんないねん。
  65. Bいいんだよ。
  66. B何が?
  67. B何を急に?
  68. Aお前がおもんない言うてんねん。
  69. B僕に喋りかけ
  70. Bなによ。
  71. [笑い]
  72. Bやめなよ。
  73. Aほら出てきよった。いや、お前がおもんない言うてんねん。
  74. Bそんなことないよ。
  75. Aお前がおもんなさすぎて、もう側が迷惑こうむってんねん。
  76. B僕は面白いよ。
  77. Aお前のこの側、友達おらんやろ。
  78. [笑い]
  79. Bそれはこいつの見た目のせいだよ。
  80. A違うわ!
  81. Aお前がおもんないからや。
  82. B僕は面白いよ。
  83. Aこの視点、なんかこの鋭いでしょみたいな、それがもう一番おもんないねん。
  84. Aこの視点、なんかこの、鋭いでしょう、みたいな。それがもう一番おもんないねん。
  85. B鋭いじゃん。
  86. Aほんまに鋭かったらええで。なんやねん、こたつの足の話。全然ピンとけえへん。
  87. B何でよ、来るじゃん。
  88. Aおもんない言うてんねん。
  89. B内側だけが熱いんだよ。
  90. Aほんまにお前、決定的に今お喋りすぎる。うん。
  91. Aほんまにお前、決定的に今、おしゃべりすぎる。うん。こっちの反応を見て、ちょっと減らせ、しゃべる量!
  92. Bいいじゃん別に。
  93. Aおもんない話だらだらされたら迷惑やから!
  94. B僕は面白いよ。
  95. A面白くない言うてんねん。こっちにもちょっと喋らす、ほんで会話をする。じゃないと、これ友達になられへんぞ。
  96. Bわかった。
  97. Aわかったか。
  98. Aあーあ。まあでもな、まあ野球やっててんけどな、あれ、だから。
  99. Bそうなんだ。
  100. Aそうそうそう。
  101. Aなんで?
  102. Aあ、ポジション?うん。
  103. Bそう。で、普通だったらさ、野球でピッチャーやってたとか、野球で外野やってたとか言うべきじゃん。でも野球やってたって、「え、何をやっていたの?」ってなるじゃん。で、僕いつも思うんだけど、野球ってボールじゃん。
  104. Aうん。
  105. Bで、うーん、何て言うんだろうな、ピッチャーが投げてくるわけじゃん。それを打つんだよね。こうやって打ち返す動き。これってさ、ほら、なんか真逆の現象じゃん。
  106. [笑い]
  107. Bで、これってさ、完全にこたつの足現
  108. Aおい!
  109. Aやめぇ、その話!
  110. B何を?
  111. Aいや、こたつの足の話をやめろ言うてんねん、おもんないから!
  112. B面白いじゃん。
  113. Aいや、おもろない言うてんねん。それおもろ
  114. B僕は、お前より面白いよ。
  115. Aええー!?決定期的におもんない、お前は。お前は圧倒的におもんない!
  116. Bそんなことないよ。
  117. Aお前、ガワに謝れ、マジで。ほんまかわいそうやねん、このガワが!
  118. Bガワは見栄えが悪いせいだよ。
  119. A違うわ!お前がおもんないから、それに引っ張られて見た目もこんな感じになってんねん!
  120. Bなんでだよ!
  121. Bなんでだよ!
  122. A俺は普通に友達になりたいねん、このガワと!でもそのシン、お前のせいで!シンのせいで友達なられへんねん!わかった?自分が面白くないのを認めろ。「面白くないです、僕は面白くないです」っていうのを認めなさい!
  123. B僕は面白いよ。
  124. A面白くないですっていうのを認めた
  125. B認めたくないよ。
  126. A認めてからや、そっからや!
  127. B僕は面白いよ。
  128. Aそれをやめろ。
  129. B僕は……面白くない。
  130. Aそう!
  131. B僕は面白くない。
  132. A認めたか?
  133. Bうわっ、僕は、本当に面白くないの?
  134. Aああ、面白くない。その面白いっていうのを別に誇示せんでええねん。
  135. B本当に?
  136. Aうん、普通でええねん。そんな無理に面白い話せんでええから。普通の日常会話でええねん。
  137. Bありがとう。
  138. Aわかった?
  139. Bうん。
  140. Bこたつの足ってさ……
  141. Aおい!
  142. [笑い]
  143. Aだから違うって、それが!
  144. B何を?
  145. Aこたつの足の話は日常会話じゃないねん!
  146. B面白いじゃん。
  147. Aおもろないねん!おもろいとかおもろないのジャンルじゃないねん、訳分からんねん、その話!
  148. B嘘でしょ。
  149. A二度とするな、友達にこたつの足の話!わかったか?
  150. B僕は、じゃあ、黙るよ。
  151. A普通でええねん。な?普通に返そうぜ。
  152. Bそうなの?
  153. B自分が喋らなくていいの?
  154. A黙ってもええねん。
  155. A間を楽しむ。
  156. B知らなかった。ありがとう。
  157. Aああ。
  158. Aあーあ。
  159. Bなんか、お腹空いたな。
  160. Aうん。
  161. A俺、食べてないわ、昼。
  162. Bあ、そうなの?
  163. Aうん。
  164. B食べてない。
  165. Bえ、好きな食べ物
  166. A好きな食べ物?うん、カレーとか。
  167. Bあ、一緒。
  168. Aマジで?
  169. Bうん。
  170. Bえ、混ぜるタイプ?それとも混ぜずに?
  171. Aいや、混ぜへんよ。
  172. Bあ、わかるわー。
  173. Bうんうんうん。
  174. [笑い]
  175. Aどうする?学食行く?
  176. Bあ、行こう行こう!うん。
  177. A行く?あ、行こか、うん。
  178. Bうん。
  179. Bわっ。
  180. Bえ、ちょっと高くない?学食って。
  181. Aいや、でもあの量やったら。
  182. Bあ、わかる!
  183. Aうん。
  184. Bえ?
  185. A友達になれそう?
  186. B[笑い] そんななんか、畏まって言わんでいいよ。
  187. Aあ、いや、ごめんごめん。
  188. B自然になんか。
  189. Bえっと、生姜焼き定食にしよう。
  190. Aああ、まあええんちゃう?
  191. Bえ、な、何に?
  192. Aいや、俺ハンバーグとかにしようかな。
  193. Bけ、結局カレーにしてへんの?おもろい。
  194. [笑い]
  195. Aまあまあまあ、確かにね。
  196. Bで、そう言えばさ、こたつの足って
  197. Aおーい!
  198. [拍手]

分析

時間配分

つかみ(0:00〜0:30)で大学ベンチの日常会話を提示し、本題(0:30〜7:45)で「面白くない話をする奴」への説教と「芯」との対話、オチ(7:45〜8:18)で和解からの再犯という三段構成です。本題が全体の約9割を占めるロング会話劇ですが、笑いの配置は序・中・終が4/4/4と均等で、だれる時間を作りません。

「退屈な話」を退屈に演じるメタ構造

このコントの核心は、題材が「芯からおもんない奴」であると同時に、本人たちがその退屈な持論を延々と演じている点にあります。測定でも無音が310回・計94.5秒、抑揚のない早口という数字が出ており、「話が退屈な人物」のリアリティが音響データにも表れています。

転換点 3:57 — 「芯」の人格分離

最大の笑いどころは3:57です。白Tシャツ側が「ガワと芯は別」と説教を始めた瞬間、青シャツ側の「芯」が野太い低音ボイスで「何だよ」と応答し、リアルな会話劇が突如不条理な人格分離コントへ化けます。2:27の「芯からおもんないよな」という核心をストレートに言い放つ瞬間も大きな笑いでした。

反復と天丼の回収

「こたつの足」の例えが事あるごとに7回反復され、天丼化していきます。測定の繰り返しフレーズ(「がおもんない」「おもんないか」各×4)がこの設計を裏付けています。オチは和解して学食へ向かう途中、8:14で再び禁句を口にし、「おい!」の一言で幕を閉じる美しい回収です。

測定データ

項目値
尺8:18
発話文字数2,414字 / 197行
話速299.9字/分(有声 369.3字/分)
笑いの回数12回(1.45回/分)
初笑い0:36
笑いの間隔中央値 24秒 / 最長 75秒
笑いの配置序/中/終 = 4/4/4
無音310回 / 計 94.5秒
笑いの大きさ中央値 +15.6dB / 最大 +17.2dB
発話の内訳A 50% / B 50%、交代 147回

笑い12回は音声拾いの下限と考えられ、最長間隔75秒の沈黙帯(4:10〜5:25付近)は物語上の説教パートに対応します。数字と見どころがきれいに噛み合った一本でした。

出典・測定元

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